当ブログにお越し頂き、ありがとうございます。
以前、ライチョウのことを記事にしたことがあります。
先日、動物園のライチョウが卵を産んだニュースを見て、
調べました。
ライチョウは、国の特別記念物で国内では、
半世紀前に絶滅したとされています。
以前の記事に書いているので興味がある方は読んでみて下さい。
2018年に中央アルプスで、
メスのライチョウが発見されました。
このメスのライチョウは個体の遺伝子を解析した結果、
乗鞍もしくは北アルプスから飛来した可能性が高いことが、
明らかになりました。
ライチョウは、成鳥になると
メスのほうが生まれ育った地を出ていきます。
ライチョウはわずかな距離しか飛べません。
長い時間をかけて中央アルプスにやってきたのでしょう。
その工程を想像すると、胸が熱くなります。
そんなライチョウの行動が、
人を駆りたてたのだと思います。
1 ライチョウの保護観察事業の経過
2 繁殖個体群復活作戦
3 生息域保全
4 現在
について書きました。
ライチョウの保護観察事業の経過
2018年に中央アルプスで50年ぶりに、
メスのライチョウが発見されました。
ライチョウは1羽でも無精卵を産み、抱卵する習性があるため、
中央アルプスに飛来したメスも抱卵していました。
そこで、無精卵を他の個体の有精卵と入れ替える事業が
計画されました。
2019年
2019年に生まれた雛は、
テンなどに捕食されたとみられています。
2020年
メスの抱卵が確認されたことから、メスが産んだ無精卵7個と、
有精卵8個との入れ替えが成功しました。
しかし、6月30日の調査で、
雛5羽の死骸と孵化にいたらなかった3個の卵が
見つかりました。
巣の近くのセンサーカメラを確認すると、
10匹ほどのニホンザルが映っていました。
「29日の孵化直後、
巣を除き込んだサルの群れにメスが驚いて逃げた」
と分析されています。
パニックになって散らばった雛は、
短時間のうちに体が冷えて、死に至ったとみられています。
2020年8月
中央アルプス木曽岳に移送し、放鳥しました。
永続的繁殖個体群を確立するには、
飛来メスの雛たちだけでは数が少なすぎます。
乗鞍岳から輸送した3家族は、
中央アルプスの自然になれさせるため、
木枠と金網で作ったケージで1週間ほど保護しました。
雛たちは、秋には無事に親離れして独立しました。
11月のはじめまでは、
18羽のライチョウの生存が確認されています。
繁殖個体群復活作戦
絶滅したとされています。
リストランクを下げるには、
まず生息地を6山域に増やす必要があるのです。
2018年に現れたメスによって、
現在環境省は「復活作戦」を展開中です。
今までの経過で、ライチョウは無精卵と有精卵を入れ替えても、
母鳥は抱卵して雛が孵化することが実証できました。
この技術は、今後の保護対策にも役立ちます。
2018年に飛来したメスのライチョウは、
「飛来メス」と名付けられ、
中央アルプスの復活作戦のシンボルにまりました。
(全国山の日協議会引用)
2021年7月6日
環境省は
「半世紀ぶりに自然繁殖によるライチョウの雛が孵化した」
と発表しました。
この時、3つの巣で計20羽の雛が誕生。
復活作戦のきっかけとなったメスが7羽の雛を孵化させ、
関係者を喜ばせました。
孵化した雛たちと母鳥は、
木枠と金網で作った保護ケージに収容され、
雛が自力で体温調節ができ、飛べるようになるまで約1ケ月、
人の手で守り育てられました。
ケージ保護では、ライチョウ5家族が保護されて
雛たちが無事に成長しました。
今回の挑戦では、動物園が繁殖に協力することになりました。
それぞれ1家族ずつをヘリコプターで輸送。
動物園で繁殖させ、
翌年、中央アルプスに野生復帰させるのです。
8月3日、2家族は2つの動物園に運ばれて現在、
繁殖に向けた取り組みが進んでいます。
(全国山の日協議会引用)
生息域保全とは
環境省は2015年から
上の動物園や大町山岳博物館(長野県)などの施設で、
スタートさせました。
動物園で人口保育することは、野生のライチョウが絶滅したり、
激減したりした場合の「保険集団」を確保する意味があります。
また、人口飼育で増やした個体を野生復帰させることにも
取り組んでいます。
今回わざわざ中央アルプスから2家族を運んだのは、
現在、動物園で人口保育しているライチョウを
野生に戻すことは出来ないからです。
それは、腸内細菌と寄生虫の問題があるからです。
現在、各施設で人口保育しているライチョウは、
乗鞍岳から運んだ卵を人工孵化させた個体が由来です。
ライチョウは、孵化後10日間ほど母親が出す盲腸糞を食べます。
糞を食べることで雛たちは、
糞の中に含まれる腸内細菌と寄生虫を
受け継ぐのです。
毒素を含んでおり、腸内細菌を受け継いでいない個体は
餌を消化できなのです。
また、寄生虫に対する免疫がないと、
野生では生きていけません。
有精卵を人工孵化させたライチョウは、
腸内細菌も寄生虫も
母鳥から受け継いでいないからなのです。
こうした理由から、
中央アルプスから家族ごと動物園に運び、
野生復帰ができる雛を繁殖させることになったのです。
ライチョウは孵化した翌年から繁殖できます。
このため現在、近親交配をさけるため、
ふたつの動物園の雄を交換してつがいを作り、
繁殖に挑んでいます。
動物園生まれのライチョウが、野生復帰に成功すれば、
復活作戦は成功となります。 (全国山の日協議会引用)
現在
5家族(雌5羽+雛24羽)を保護しています。
今後駒ヶ岳周辺で孵化した1家族を加え、
最大6家族になる可能性があります。
寄せられた情報を合わせると、
今年確認された17のつがいのうち
13つがいで孵化を確認し、1家族は抱卵中とのことです。
現在縄張り数17で、あぶれ固体や一夫一妻などを含め、
40羽程度が生息している可能性があります。
(環境省ホームページ引用)
最後に
2021年に7羽の雛を孵化させていますが、
きっと今年も可愛い雛を孵化させていることでしょう。
良かったです!2018年、2019年の冬は
一人ぼっちで寒い冬を乗り越えたライチョウの
頑張りを想うと胸が熱くなります。
ライチョウの寿命は、
はっきりとは分かっていませんが、
4~6年と言われています。
「飛来メス」と名付けられたライチョウの子孫は、
中央アルプスで子孫を繫栄し続けてくれることでしょう。
色々言われていますが、
人間にも責任の一端があるのは間違いありません。
このまま順調に数が増えていくことを願っています。
貴重な時間を使って頂き、ありがとうございました。